ハマダイブ
浜松市

クライアントの問い合わせに瞬時に対応できるAIチャットbot

OMソーラー株式会社×株式会社IKETEL

INTERVIEW

【OMソーラー×IKETEL】お客様の電話対応は全社員が可能に。AIチャットボットで業務革命を(後編)

スタートアップ支援やオープンイノベーションの推進に取り組んでいる浜松市。浜松というフィールドから新しいアイデアやビジネスが次々と生まれることを目指し、社会課題などをテーマに浜松市企業とスタートアップの協業・連携を支援している。

今回は、日本の気候風土に適応した地域建築を通して、豊かな住環境の創造に貢献するOMソーラー株式会社 技術部の杉田恭子氏と、テクノロジーで地域や産業のアップデートに取り組む株式会社IKETEL代表の松本栄祐氏に、両社の取り組みについて話を伺った後編をお届けする。

※前編はこちら

OMソーラー株式会社
技術部

杉田恭子氏

株式会社
IKETEL

松本栄祐氏

紙のマニュアルから検索するより、はるかに効率的に

今回の実証実験の結果について教えてください。

杉田:

現在は、開発いただいた社内用のAIチャットボットを部署内の数名で検証している段階です。いきなり全社に展開して検証をお願いしても困ってしまうと思うので、使い方や使い勝手を確認しながら、全社展開に向けて準備しています。

松本:

最新版は、杉田さんに整理してもらったデータを反映させて開発しました。β版を改善し、お客様の不具合やエラーコードに対して、こういう対応をしてくださいという情報を学習したAIチャットボットになっています。

本格的に導入いただいて、継続的な業務課題解決につなげるには、まだいくつか確認しないといけないことがあるので、まずは杉田さんの部署に忙しい中でも使えるのかを3月6日までに検証してもらっているところです。

杉田さんは実際に使ってみて、どんな感触を得ましたか?

杉田:

今までは、お問い合わせに対して、どのシステムにどんな不具合が発生しているのかをヒアリングし、大量にある紙のマニュアルから該当するページを探して回答していました。それが、画面上に回答がすぐ表示されるのはとても便利だと思います。

ただ、電話をかけながらAIチャットボットを検索して、リアルタイムで回答できるのかという課題があることもわかりました。なぜなら、受話器を持ちながらパソコンで検索することや、音声認識に慣れていないから。

きっと、しばらくは電話で要望を聞いて検索し、折り返し電話をかけることになると思うので、それがスムーズにできる仕組み作りも必要だと思っています。

紙のマニュアルから検索するより、はるかに効率的ですよね。

杉田:

もちろんです。全て頭に入っているわけではないので助かります。個人的には、お問い合わせ内容からある程度どのマニュアルか予測はできますが、全員がそうではないので欲しい回答を表示してくれるのはとても良いなと思っています。

松本:

ありがとうございます。社内で使っていただいて、ある程度高い精度が保証できそうだと実感しています。最終的には、お客様がAIチャットボットに質問して解決できるようにして、お問い合わせ対応自体を無くせたらいいですね。

杉田:

それが理想ですが、お客様が自分でエラーコードを検索して解決するケースがほとんどなく、電話をかけてくる方が圧倒的に多いので、その電話に対して早く回答するためにも全社でどう活用していくかを考えながら検証を進めたいです。

専門分野ではない人もある程度回答できるようになれば、会社の信用にもつながります。そんな使い方ができるよう、長期的な目線で運用していきたいです。

協業したことで新たに見えてきた課題

今回の協業で得られた学びや気づきを教えてください。

松本:

我々は、これから実績を作っていくフェーズにある、立ち上げ段階のスタートアップです。技術があって社内で検証をしているとはいえ、実際に事業会社の実データを使って検証した実績は少ないので、今回OMソーラーとご一緒できたことは我々にとって大きな価値になりましたし、気づきも得られました。

今後の展開として、製造業の商品開発領域で、すべての業務が効率化され、社内のデータを生かしながら社外とつながって協業できるような、オールインワンのプロダクトを作っていきたいと考えています。

今回は、その最初の一歩として、社内の情報検索とお客様への応対を自動化するAIチャットボットを作りました。今後は必要な機能を追加しながらデータを随時更新し、高い精度で使い勝手の良いプロダクトに育てていきたいです。

今回の協業を経て、新たに見えてきた課題はありましたか?

杉田:

AIチャットボットはとても便利ですが、お客様が自ら不具合を解決する世界観まで持っていくには道のりが遠いなと思いました。業界的に高齢の方も多いからか、わからないことは電話をして聞くのが当たり前なので、社内の体制を整えることの重要性を感じています。

松本:

心理的に、お客様が電話をかけてしまうのは理解できます。それを解決するために、人間に近いAIを作って安心感を与えられるようにするのか、人間とAIが分担しながらより効率化を図るのか、検証を重ねることでOMソーラーにとってベストなプロダクトを作れたらいいですね。

高い熱量で本気で取り組む浜松市のプログラム

今回のプロジェクトはOMソーラーから関わる人が多かったと聞いています。どんな戦略だったのでしょうか?

杉田:

製品を作る人と、実際に製品を使うお客様に対応する人は違います。だから、それぞれに実務を担当する人に入ってもらって、本当に欲しいものを確認しながら後戻りのないように進めました。結果的に関わるメンバーが多かったのですが、いろんな人を巻き込んだことで窓口としてはやりやすかったです。

松本:

杉田さんを窓口に、各専門の方が熱量を持って参加してくださって、僕らとしては本当にありがたかったです。お互いに本気で取り組めた協業だったと思います。

浜松市のプログラムへの参加を検討する企業にメッセージをお願いします。

杉田:

今回の協業を通じて、こんな考え方もあるのかと視野が広がり、固定概念に囚われていたことが結構あったことに気づきました。

中小企業で人員が少ないと、新しいプロダクトやシステムを導入するための予算が取れなかったり、全社的に変化を起こすことが難しかったりすると思います。

でも、古いものを無理に使い続けるのではなく、そこに新しいものを少し加えるだけで効率化は図れるので、ぜひ浜松市の企業にはスタートアップとの協業を検討してもらいたいです。

松本:

浜松市のプログラムは支援が手厚く補助金もあり、助けてくれる人の数がとても多いなと実感しました。高い熱量でいろんな人を紹介してくださり、欲しい情報も随時共有いただけて、学びや気づきの多い取り組みでした。

スタートアップにとって非常にありがたい環境が用意されているので、全国のスタートアップはぜひプログラムに参加して成長のきっかけにして欲しいです。

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